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2013年3月 7日 (木)

Mr. T Rock Live "Alive and Well M"~森園勝敏、復帰祝いライブ <前編>

ステージの造作はまだ謹賀新年。

昨年末の最後のライブのレポートとして森園勝敏のバンド、Republic Saxophoneの復活を伝える記事を掲載した。やはり日本のロックを作った巨人として、森さんのような人はいつでも第一線にいなければならないのだ。それが偉大なアーティストの宿命であり、義務であり、特権であり…反対に聴く方からすれば「願い」であったり「喜び」であったりもするワケだ。

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そして、個人的にコンサートを企画して森さんの現場への回帰をお祝いした人がいる。それがこのお方、高橋重夫氏。

以前のブログでもレポートしたが、自分が還暦を迎えた時もCharさんや鮎川さん、森さん等豪華絢爛な友人のギタリストを招いてライブしちゃった楽器業界の重鎮だ。かつてはレコード会社に在籍し、四人囃子の『一触即発』にもExecutive & Advising producedの項にその名前がクレジットされている。

『一触即発』に関して、ご本人は謙遜して「イヤ~、何もしなかったよ~」とおっしゃるが、この世紀の名盤のジャケットに名前が印刷されるなんて…羨ましいことこの上ない!一生残るもんナァ。日本のロックの歴史に名前が残っちゃうんだからね~!

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さて、高橋さんの「森さんの復活を祝う」ご挨拶の後、すぐに演奏がはじまった。

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まずは森さんが登場して「Sleepwalk」。よく森さんが「Lady Violetta(レディ・ヴィオレッタ)」のエンディングでチラリとこの曲のテーマを弾いたりしているが、今日はこの美しい曲を全編披露。いい曲だよね~。

日本ではブライアン・セッツァーの演奏で有名になったのかな? 元はSanto & Johnnyというブルックリン出身のデュオ・チームの1959年のヒット曲。名曲だけあってシャドウズからダニー・ガットンまでヤケクソにいろんな人がカバーしている。

ジェフ・ベックは1985年の『ポーキーズ最後の反撃!(Prkey's Revenge)』という1985年の映画のサウンドトラックでこの曲を録音している。シュワちゃんの『ツインズ』の中ではない。

「ラ・バンバ」で有名なリッチー・ヴァレンスの伝記映画、『ラ・バンバ』の中でも印象的にこの曲が使われていたが、あれは元々サンタナが弾いたんだって。残念ながら映画にそのトラックは使われなかったけど、聴いてみたかったな。なんか仰々しい「Sleepwalk」なんだろうナァ。

そういえばラリー・カールトンのもよかったな。渋谷のタワー・レコードがまだハンズのハス向かいにあった頃、クリムゾンの『Discipline』とディ・メオラの『Electric Rendezbous』と同時に買ったのを覚えてる。そんな時代だ。

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サイドギター、高橋重夫。

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ドラムは盟友、岡井大二。マーブロでもすっかりおなじみだ!

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ベースは遠藤雅美(ガミ)。ひっさしぶりにお会いしたナァ~。「アレッ?太ったナァ~」なんて声をかけられてビックリした。

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2曲目は森さんが下がって西山毅が登場!

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曲はアストロノウツの「Hot-Doggin'」。高橋さん、せっかくの出番なのにスミマセン。アタシ全然知らないんですアストロノウツとかスプートニクスとか…。

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さらに加山雄三の「Black Sand Beach」。『若大将』は好きです。あの映画を観るたびに「ああ、オレも田能久の家に田沼雄一で生まれたかったナァ~」と思ったもんです。でも加山雄三は『赤ひげ』かナァ。保本登。若大将シリーズの合間の1年で『赤ひげ』を撮ったんだってネェ。よく黒澤さんがそれをよしとしたよなぁ。

高橋さん、ふたたび出番中にスミマセン!テケテケ系疎いんですよ~。黒澤明の話ならいくらでも…。でも高橋さん、とても楽しそうだ!

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ドラムが富岡グリコ義弘に、ベースが満園庄太郎にスイッチして「Scatterbrain」。

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難なく9/8拍子でノリまくるグリコさん。

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西山さんのキッ~ク!で曲を〆る。

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続いては「'Cause We've Ended as Lovers」、「哀しみの恋人達」。「私たち、恋人同士ではなくなったから~」みたいな。

西山さんの弾くこの曲は絶品です。一寸の隙もない演奏はまさに芸術品。最初のヴァイオリン奏法の一音で電気が走る。テレキャスターで弾くところを見てみたい。

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庄太郎ちゃんとも長い付き合いをさせて頂いている。そういえば西山さん、庄太郎ちゃんと若手ドラマーの3人と組んで何回かマーシャルのイベントやったっけナァ。アレ、楽しかったナァ。

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共演する機会も多いこの2人の呼吸はもちろんバッチリだ。

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続いてギターが5Xのジョージ吾妻。ボーカルが…

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久世敦史。エ~、なんで久世ちゃん?! 驚いたわ~。まさかここで久世ちゃんといっしょになるとは!念のために書いておきますが、久世敦史は名門へヴィ・メタル・バンド、コンチェルト・ムーンのシンガーですから

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大ベテラン、ジョージさんの堂々たるプレイが迫りくる!曲は「Crossroad」。

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庄太郎ちゃんはEDEN WT800とD410XSTを使用。庄太郎ちゃんらしい芯のしっかりしたブットいサウンドが気持ちいい!

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もう大笑いしたのは、どうも庄太郎ちゃんは昔から久世ちゃんのことを知っていて、ナンカの仕事でいっしょにアメリカへ行ったこともある仲だとか…。それで、今回のステージで久世ちゃんが「コンチェルト・ムーンのボーカル!」と紹介されるのを聴いて庄太郎ちゃんが真顔で、「チョチョチョ!」と割って入り、「ナニ、お前、コンチェルト・ムーン入ったの?知らなかった!」と本気で驚いてる。その様子が最高におかしくて!お客さんも大笑い!

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このセット、2曲目は「Gimmie Some Lovin'」。

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スティーヴ・ウインウッドとは毛色が違うが十分にいい感じ!

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グリコさんもギンギンにフロント陣をあおる!

へヴィ級のセットだった!

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木暮"shake"武彦が登場。

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アコースティック・ギター1本でガラリと雰囲気を変える。

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心を込めてギターと真摯に向き合う姿が聴衆の耳目を引き付ける。

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グリコさんがジェンベで加わる。

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2曲目にはビートルズの「Norwegian Wood」。

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そして「カジノドライブ」をアコースティックに演じ上げた。

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色々とバラエティに富んだ音楽スタイルが登場したイベントであったが、どちらかといえば静謐なshakeさんのコーナーは他とは違った時間が流れていたようで強く印象に残った。

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第1部の最後には再び森さんと西山さん、大二さんが登場して「Lady Violetta(レディ・ヴィオレッタ)」を演奏。

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何回聴いてもいい曲だニャ~。

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西山さんとのコンビネーションもバッチリだ。西山さんは海外のギター・ジャイアンツへのリスペクトはもちろんのこと、寺内タケシをはじめとした日本のロック・ギタリストへの傾倒ぶりに関しても人後に落ちることはない。こうした日本のロック史に燦然と輝く名曲が素材とくれば、その演奏の密度は驚異的なものになるのは当然だ。美しい~!

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前回のRepublic Saxophoneのレポートでも書いたが、まだ100%の回復ではないという森さんの指。もちろん一刻も早い完璧なリカバリーを望むが、今の時点でも十分に納得のいく音楽的仕上がりだ。すさまじいまでに重厚にメロディが繰り出されてくる。

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庄太郎ちゃんのバラードもまたいい。後半のギター・ソロに展開した時の引っ張り方がカッコいい!

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もちろんオリジナル・レコーディングの『ゴールデン・ピクニックス』でドラムをプレイしているのは大二さん。あまりにも素晴らしいアルバム。今でも愛聴している。天才音楽家たちと時代の空気が作り出した奇跡の一枚だ。

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これにて第1部終了。第2部も楽しみだ!

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<後編>へつづく

(一部敬称略 2013年1月11日 原宿クロコダイルにて撮影)